クリニック通信 第3回

歯の内部、根の中の掃除について

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虫歯には進行度合いに応じて、病状に変化が生じます。 上の模式図において左から4番目、5番目の状態になると歯の内部  神経の通り道にバイ菌が入り込み痛みが生じたり、歯茎が腫れてきたりします。 今回はこのような場合の治療法に関してお伝えします。


歯の内部は非常に複雑な形をしています

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大きな虫歯が出来て痛みが出た場合、いわゆる「神経をとる」治療を行いますが 神経の通り道は非常に複雑な走行をしています。 奥歯の大きな歯などは一つの歯に、3本から4本の主な神経の通り道があり またそれが網の目のように枝分かれしていることが有ります。 それぞれの通り道は非常に細く、複雑に曲がりくねっています。 バイ菌はその通り道に入り込むだけでなく、その周囲にしみ込むように拡がっていきます。


歯の内部の清掃、消毒「根管治療」

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バイ菌は歯の内部にしみ込んでいますので、待ち針をさらに細くしたようなリーマー、 ファイルという器具等で感染した部分を削り取り かき出していきます。 網の目のように複雑な形態のところは器具が入りませんので、液体の消毒薬も併用します。  この作業「根管治療」はとても複雑かつ繊細な作業で、我々歯科医師にとっては  特に神経を使い大変消耗する治療の一つです。

歯の内部に入り込んだバイ菌は、その内部で増殖して根の先端から骨の中にあふれ出ていくことがあります。 しかしながらあまり強い痛みを起こすことは少なく、ゆっくりと骨を溶かして膿の溜まった袋のような病巣を作っていきます。  痛みがあまり出ないので見過ごされがちですが、より悪い方向に病気が進行しています。


根の先に膿の袋「根尖病巣」が出来てしまったら

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根尖病巣(上の写真で赤い線で囲ってある部分)が出来ても通常は痛みを感じることは無く、 体調が悪いときに疼いたり おできのような膿の出口が近くに出来る位で気が付きにくい病気です。 しかしながら放置すると骨の溶ける範囲は広がるばかりで、持続的な感染源となりますので、 掌蹠膿疱症という手のひらや足の裏に水疱を作る病気との関連性が指摘されていますし、 上顎の歯において根尖病巣が原因となって起きる鼻の蓄膿症(歯性上顎洞炎)を引き起こすこともあります。 (2004/12/13)

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根管治療を行い根の内部を徹底的にきれいにしていきます。そしてカルシウム成分を 多く含んだ薬剤を根の先から病巣内にあふれ出させています。(2004/12/22)

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あふれ出た薬剤は新しく健康な骨を作るための呼び水となります。 時間の経過とともに薬剤は消費されますので、一定期間ごとに追加する必要があります。 右隣の歯は根の中の掃除が不十分で、根尖病巣が出来ていたため根管治療が始まっています。 (2005/1/27)

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骨が溶けて空洞が出来ている部分はレントゲン写真上で黒く写りますが、健康な骨が 周囲から出来つつあるので黒く見える範囲が狭くなってきています。(2005/3/28)

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病巣の範囲はかなり縮小しました。右隣の歯の病巣もほぼ消失しました。(2005/6/23)

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右隣の歯は根管治療が終わり最終的なお薬が根の中に入っています。(2005/7/15)

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海外にお住まいがあり来院が数年間途絶えたため、薬の交換がしばらくできませんでした。 病巣が完全に無くなるまであと一息です。(2008/4/13)

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根尖病巣はほぼ消失しました。右隣の歯はあまり大きくありませんが 神経の通り道が2本あるのがよく分かります。(2008/5/16)

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最終的なお薬が入って後は被せる物を作るだけです。途中数年間のブランクが有ったため 治療期間が長くなりましたが、通常は数か月で治療は終了します。(2008/12/19)

クリニック通信

第1回

虫歯が無いのに歯が痛んだり、しみたりしたことはありませんか?
いわゆる、知覚過敏、咬合性外傷について。

第2回

ブラッシングは「ながら磨き」を身につけましょう。

第3回

歯の根の中の掃除について。

第4回

歯を白くしたい....ホワイトニングについて。

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